月降る、夜

月は森に映える。

遠く、月を想う。


月の名前が付いた人だ。






何年も前に

手を差し伸べられた

…その手を振りほどいて、今があって。



その手を振り払ったことを、
たまに思い返しては、

後悔してた。


そしてそれは、「呪縛」となって、

数年後、彼は、月の世界からひょっこり、やってきた。




でもそれは、やっぱり単なる「呪縛」でしかなくて。



森は森。
月は月。


遠く離れて、たまに思い出す。

いや、思い出しもしない。ふと、名前がよぎるだけだ。






今宵の月は、まんまる。


その人の名前と同じ意味を持ってる。






私は森でいいんだ。

だってそこは私の住むにはあまりに狭苦しかったし。




遠く、高層マンションの上で、
空の上でくらす人。



ホントに、君は月なんだなぁ。